歯の神経を残したい|【公式】いしだ歯科・小児歯科クリニック|住吉区の歯医者・小児歯科

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歯科コラム

歯の神経を残したい|【公式】いしだ歯科・小児歯科クリニック|住吉区の歯医者・小児歯科

歯の神経を残したい

歯の神経を残すことは、その後の歯の寿命を考えた上でも極めて重要なことです。しかし前提として神経を取らざるを得ない場合もあります。もちろん、患者さんのほとんどは、神経を取ることを希望されてはいないと思いますし、歯科医師も望んでやっているわけではありません。例えば、歯の神経がむし歯菌に感染している場合では、神経を取る必要があります。特に、何もしていなくてもズンズンと痛む方や、夜も眠れないほど痛みがある方などは、神経を取って根管治療を行うケースが多くなります。

ただ、むし歯を除去した結果、歯の神経が一部見えてしまっているようなケースではMTAセメントという材料を使用することで、歯の神経の保存が可能になることもあります。

MTAセメントのメリット

MTAセメントとは、1998年頃に登場した歯科治療用の材料です。むし歯などによってできた歯の穴を塞ぐものですが、MTAセメントは通常のセメントとは大きく異なります。

お口の中は湿度が高いため、通常のセメントだと接着しにくいですが、MTAセメントは湿気のある場合でも硬化しやすいという特徴があります。硬化には16時間程度かかり、硬化後3ヶ月程度で最終強度に近い硬さになります。かつてのMTAセメントの1番の問題点は、配合成分による歯の変色でした。現在のMTAセメントには変色を起こさないタイプも多く存在しており、前歯など審美的に重要な部分への使用も可能です。

MTAセメントは歯の神経を残す治療に有効

MTAセメントは、過去に使われていた材料に比べて、歯髄の壊死・炎症が少ないことが、様々な研究で明らかになってきています。歯の神経を緊密に封鎖できることや、硬化後に多少膨張することにより、菌の侵入を防げることが大きな要因です。硬化後の封鎖性が高まると、むし歯の再発を防止できます。さらに、MTAセメントの成分が水と反応すると水酸化カルシウムが生成され、強アルカリ性になることで細菌を寄せ付けず、抗菌性がアップすることも研究で分かっています。また、MTAセメントは人体に馴染みやすい、つまり生体親和性がとても良いため、周囲の様々な細胞を再活性させることで、人体組織の再生を促すことも可能です。MTAセメントに含まれているカルシウムイオンが放出されることで、周辺の歯質にハイドロキシアパタイト(歯や骨を形成するリン酸カルシウムの一種)を形成し、歯の象牙質の、新たな形成を促進することも判明しています。

しかしながら、MTAセメントはとても優れた材料ですが、どんな場合にも必ず使用できる、というものではありません。安静にしていても痛みがひどいむし歯などには、適用できないこともあります。歯の神経を取るor取らないの判断はとても難しいものですが、神経を温存できる可能性がわずかでもあるならば、なるべく温存すべきだと考えます。

MTAセメントによる治療は保険外治療となってしまいますが、気になる方はぜひご連絡ください。