歯の神経の保存に
- 2023年11月15日
- 虫歯
歯の神経保存療にはMTA。むし歯が大きくて神経を除去しなくてはならない処置になる可能性がある歯でも、神経を残せる治療法があります。神経保存療法とは、むし歯が進行したところの周囲神経組織を一部取り除き、MTAセメントによってその穴を閉鎖します。八割方の神経を生きたまま残し、保存する方法です。もちろん、どんな症例にでも適応されるわけではありませんが、歯の神経を生きて残せる可能性が高い方法です。
自発痛がない、大きなむし歯が適応です。神経が既に死んでいる場合は不適応です。見た目では、適応、不適な区別がつきにくいのが特徴です。蓋となるMTAは、充填時に強アルカリ性で殺菌効果を発揮しながら硬化していきます。やがて硬化すると辺縁を封鎖します。硬化に24時間かかるので自宅に戻り唾液が入らないようにしっかりその上に二重の蓋をしないといけないのが特徴です。他のセメントでは、こういった使い方はしません。私達は歯の神経を出来る限り残したいと考えています。
人間の歯は、生活歯(生きている歯)と失活歯(神経治療をされた歯)で、歯の余命や強度、感染に対する抵抗力が大きく異なり減少します。その結果、抜歯になる可能性が高まります。ですので、歯科医師としては出来る限り神経を残したいと思っています。むし歯が大きいと感じたときには、まず神経保存療法についてお話をしてから始めます。痛みのないむし歯なので、緊急性がないのが特徴です。しかしながらMTAセメントは魔法の薬ではありません。神経が予定通りに残せないこともあります。ご理解下さい。
今回は当院でも用いているBio MTAセメントについても、ご紹介します。このセメントの特徴は、色にあります。なぜと思われる方もいるとは思いますが、結構色も大切です。従来の MTAセメントは、工業製品のセメントに似た灰色でした。ある種大臼歯では何も関係ないのですが、前歯ではグレーカラーが透けて見えてしまうことあります。前歯の内面にグレーがあると、虫歯のように見えてしまいます。それでは、いけませんので、白色のセメントが開発されました。