床矯正(しょうきょうせい)
- 2023年9月16日
- 矯正歯科
本日は子どもの床矯正(しょうきょうせい)についてふれたいと思います。床矯正の「床」とは、入れ歯のように歯茎の部分を覆う部分のことを言います。床部分は、レジンという歯科用プラスチックで作られており、そこに、装置を固定するためのワイヤーや、歯並びを広げるためのネジが埋め込まれています。床矯正は、狭くなった歯並びをキーと呼ばれるネジを巻く棒を差し込み、側方に拡大して、歯を並べるスペースを作ることを目的としており、歯の1本1本にブラケットとワイヤーをつけて歯並びをきれいに並べる矯正方法です。
お子様の「成長する力」を利用して、歯が並ぶ土台となる顎の骨を広げていきますので、成長期を過ぎて、乳歯が永久歯に完全に生え変わった後や、顎の骨の成長が完了した後に床矯正治療を開始することはできません。床矯正は早期に治療に取り組むことが大切で、小学生低学年から始めるのが最適な時期といわれております。
床矯正のメリット
①矯正装置を取り外しできる
床矯正装置は、取り外しが容易にできますので、歯磨きや食事にはわずらわしさがありません。床矯正装置は基本的に24時間装着、外すのは歯ブラシと食事のみとなります。これは、食事後すぐに装置を入れないと適合が悪くなってしまうためです。ワイヤー矯正と違い、装置を外して歯ブラシができますので、むし歯になるリスクは低くなります。
②永久歯を抜歯する可能性が低くなる
成人矯正では、歯がきちんと整列できるスペースがない場合、抜歯することがございます。しかし、子どもの床矯正では、歯の土台となる顎の骨を広げることができるので、ほとんどの場合、歯を抜かなくても歯を並べることができます。
③痛みが少ない
歯を支える顎の骨は成長過程にあるため、歯が動きやすく治療がスムーズに進みます。歯を動かす時の抵抗も少ないので、痛みも少なくなります。また顎関節なども柔らかいので矯正治療で得た新しいかみ合わせに無理なく順応できます。
床矯正のデメリット
①装着時間を守らないといけない
床矯正の適切な効果を得るためには、1日24時間の装置の装着を守って頂く必要があります。容易に取り外しができるからこそ、患者さんの協力が大切な治療です。決められた時間、装置をつけていただかないと、計画通りに治療の効果が得られない場合があります。
②発音がわかりにくくなることがある
装置に慣れるまで、舌の動きが制限されることがあるので、発音がわかりにくくなる場合があります。お子様の年齢によって、発音しにくくなることへのストレスを感じるので、気になる場合は、歯科医師にご相談ください。
③適応できるタイミングが限られている
床矯正を開始するタイミングはお子様によって異なりますが、永久歯が4本以上生え変わっていることが条件となります。また永久歯全て生えそろっていると床矯正の適応にならない場合もあります。
床矯正はメリットもありますが、お子様の協力が必要な治療です。お子様の歯並びが気になる方は、ご相談くださいね。