夏風邪とよばれる感染症
- 2023年7月25日
- その他
ウイルスにはたくさんの種類があり、その中には夏に活発になるウイルスもあります。また、国際交流の活発化にともなって感染症が持ち込まれたり、冷暖房器具が発達したことで寒い季節の感染症にもかかってしまうこともありますので注意が必要です。一般的に夏風邪とよばれる感染症は子どもの罹りやすい病気です。本来、感染症の多くは1度かかると免疫を得るため、発症しにくくなります。しかし一つのウイルスの中には、さらにさまざまな種類があったり、インフルエンザのように毎年少しずつ姿を変えることもあるので、何度もかかることがあります。
また、成人でも夏場は暑さであまり眠れず食欲もないといった状況が続けば、免疫力が低下し感染症にかかる可能性は高くなります。代表的な夏風邪の原因ウイルスを解説していきます。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナ子どものおこす夏風邪の代表です。主にコクサッキーウイルスに感染しておこります。ヘルパンギーナにかかっている人のくしゃみや咳が飛沫したり、おむつ替えなどの時に便から感染する接触感染などでひろがります。症状は突然の発熱、のどの痛みや皮膚の発赤、水ぶくれなどです。子どもの場合はのどの水ぶくれがつぶれてその痛みから飲食をさけて脱水症状などをまねくことがあります。ほとんどの場合、発熱は2~4日で治まります。のどの症状もおさまり1週間ほどで症状はなくなります。その後も2〜4週間程度はウイルスが便にふくまれて排泄されることがあります。
手足口病
口の中や手足などに水ほう性の発疹が現れます。4歳くらいまでの乳幼児を中心にみられます。原因はヘルパンギーナと同じコクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどです。発熱はヘルパンギーナよりも軽度で、発疹にかゆみがともなうこともまれです。多くは数日間で治癒し、基本的には予後も良好ですが、成人してから発症すると症状が重くなる傾向にあります。
咽頭結膜炎
原因となるアデノウィルスに季節特異性はありませんが、アデノウィルスが原因となる咽頭結膜炎は夏期に流行のピークがありました。しかし最近では冬に流行を認めるようになっており、年間を通して注意が必要です。症状としては、発熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感などに加え、のどの痛み、結膜炎による結膜の充血、眼痛や大量の目ヤニが生じます。感染力が強く、ドアノブなどからの接触や唾液などの飛沫で感染します。特別な治療がないため、かからないように予防することが重要です。うがいや、石鹸を使用した入念な手洗いやアルコール消毒をこころがけるとよいです。
風疹(ふうしん)
風邪の原因は、風疹ウイルスへの感染です。主な症状は発熱、発疹、リンパ節の腫れなどです。比較的軽症で「3日はしか」ともよばれます。成人になってから発症すると、高熱や発疹が長く続くなど小児よりも重症化する傾向があります。また、風疹ウイルスに免疫のない妊婦さんが感染すると、胎児に感染し先天性風疹症候群をおこす可能性があり、問題になっています。現在は定期予防接種の対象になっています。はしかとの混合ワクチン(MRワクチン)による2回接種がおこなわれています。また、成人後に免疫力が弱まっている場合はワクチンの追加接種も有効です。飛沫感染で広がり、強い感染力があります。
暑い日が続き、食欲がでないこともありますが、健康に夏をのりきりたいですね!