スプーンエキスカベータ

通常むし歯を削るよと言われると、誰しもがあのキーンと甲高い音のなる機械でゴリゴリと削るんでしょと想像されるのではないかなと思います。

以前にも歯科コラムにて記載しましたが、キーンとなる機械の正体はエアタービンといい、むし歯の治療を含むあらゆる歯科治療で使用されます。高速回転によりむし歯を除去するため非常に効率のよい機械といえます。

しかしケースによってはより慎重に機械ではなく、手動でむし歯を除去せねばならない時もあります。そのような時に用いるのが、表題にあるスプーンエキスカベータです。今回はこれについてご説明します。

写真のようにものすごく小さなスプーンの形をしているものがスプーンエキスカベーターです。むし歯を取るとき回転する機械で歯を削らずにカリカリほじるようにむし歯をとる器具です。健全な歯をあまり削らず、手で感触を感じながら取るのでむし歯の取り残しも少ないです。

先にもいいましたキーンと音のなるエアタービンがなかった頃からスプーンエキスカベータはあり、むし歯を除去するのに時間がかかるため、多くの歯科医院さんではあまり使用頻度がないと思いますが、最近の”歯をなるべく削らない治療”の傾向とルーペやマイクロスコープなどにより、精密に見て治療できることによって考え方も変わりつつあると思います。そう言う意味では昔からあるけれども最新の治療といえるのではないでしょうか。

スプーンエキスカベータも様々な種類、サイズのものがあり、刃先が0.7㎜のものすごく細かいものなども存在します。

回転機械と比較すると治療時間はかかりますが、治療時に歯を削る量が減り、治療したあとつめたものの隙間からむし歯が再発することも少なくなると思います。

またいしだ歯科・小児歯科クリニックでは小児、幼児の方のむし歯の治療によくこのスプーンエキスカベータを使用します。

まだ歯科治療に慣れていないお子様に、水がでて回転する機械を即時に使用するとお子様もびっくりして、顔を動かされることもあります。そうすると舌や頬の粘膜を切ってしまったりして、ケガをさせることとなってしまいます。またお子様の歯つまり乳歯は削る量が多くなるとすぐに露髄といって歯の神経が顔を出してしまいます。そのためむし歯だけを見て手で慎重に除去できるスプーンエキスカベータは非常に有用であると考えています。

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