インフェクションコントロールとは
- 2023年8月1日
- 予防歯科・クリーニング
生体と細菌のバランスで疾患が起こらない程度に感染を制御することを言います。お口の中ではむし歯と歯周病菌の細菌を上手にコントロールすることによってむし歯や歯周病を防ぐことができるということです。むし歯や歯周病は細菌感染でおこります。しかし口の中には口腔常在菌もいて、善玉菌、悪玉菌と菌すべてをゼロにすることができません。感染をひき起こさない程度にコントロールントロールができればむし歯や歯周病を防げるということを意味します。
では、口の中にいる細菌はどのように存在しているのでしょうか。日常生活の中で例えると、洗面所、お風呂場、キッチンなどの排水溝のヌルヌルがあります。そのヌメリをバイオフィルムと言います。そのバイオフィルムと同じものが私たちの口の中にも常に形成されていて口腔内バイオフィルムと呼びます。口の中が不衛生になるとべたべたした感じになるのはそのせいです。
いわゆるは歯垢、プラークと言われる口の中のむし歯、歯周病の細菌たちの塊であり膜です。このバイオフィルムは一度できてしまうと完全に落とすことが難しいこと、歯磨きで落としているつもりでも落としきれていないことがほとんどです。あの排水溝ヌメリもさっとぬぐっただけではなかなかとれません。強力な漂白剤を使って落とすことができますが、口の中では漂白剤は使えませんので、デンタルリンス、歯磨き粉などの抗菌剤も、このバイオフィルムの膜がバリアになっていると効果が薄れてしまいます。手が届かない場所においては菌が増え続け、菌が層をなしてつもっていきます。強固な菌の塊バイオフィルムを形成してむし歯、歯周病の原因となっていってしまいます。
ではどのようにすればバイオフィルムをきれいに除去することができるのかということになりますが、一度形成されてしまったバイオフィルムをきれいに除去できるのは完璧かつ丁寧な歯磨き、あるいは歯科医院での専用機械的な除去となります。とくに歯科医院で用いる機材においては古くなったバイオフィルムを機械的に破壊することができ、徹底的に除去していきます。
バイオフィルムを定期的に除去することができれば、口の中の細菌レベルをある一定に保つことができ、病原性の細菌が暴れだすことなくむし歯や歯周病を予防できるということになります。これがインフェクションコントロールです。インフェクションコントロールを行うことは歯のトラブルをなくすためにとても大切なことです。体調がよくないと風邪をひきやすかったりといった感覚に似ているかもしれません。常にコントロールされたお口の中を目指したいです。