乳歯(こどもの歯)のはえ方
乳歯(こどもの歯)のはえ方
通常、初めて大人の歯(永久歯)が生えてくるのは、下あごの前歯ですが、よく乳歯が抜けずに、その内側(舌のある側)に永久歯が生えてしまうことがあります.
初めての生え変わりで、かつ目に付きやすい部位なので、このままにしておくと、歯並びが悪くなってしまうのではないか?と、心配になり診察を受けに来られる方は少なくありません.
また、乳歯を抜いてほしい言われる方もおられます.乳歯が永久歯を生えるのを、邪魔しているのではないかと思われている方が、ほとんどです.
乳歯の歯の交換に関する役割は、
1)永久歯が生えるための場所の確保(永久歯が生えるための幅や高さの確保)
2)永久歯が生えるときのガイド役
が、重要になります。下あごの前歯の場合、乳歯に対して顎サイズのほうが大きいと、乳歯の場所の確保という役割よりも、永久歯がはえてくる際のガイド役が重要となります。顎のサイズが小さいと場所の確保という要素の方が役割として重要となります.
通常は、下あごの前歯の永久歯は、先行する乳歯の根の内側をつたって生えてくるのですが、永久歯のサイズが乳歯に比べて、格段に大きいため、生えるための顎のサイズがないと、より抵抗の少ない内側にはえる傾向があります.
つまり、乳歯が永久歯を内側に押し出しているわけではなく、永久歯は生えるスペースのある場所に生えているだけです.
乳歯の根は、永久歯の接触すると、自ら吸収を起こし、その吸収したスペースに永久歯を引き込んでいきます.
生え変わりの遅い傾向にあるお子さんは、その分、顎の成長がすすみ、永久歯の生えるためのスペースが確保されていることが多いので、きれいに生え変わることが多いようです.
ただ、大切なのは、歯の位置は、生えた位置で決まるわけではなく、歯にかかる力のの釣り合いの取れた位置に向かって動いてしまうので、一旦内側に生えても、常に舌によって外側に押されているため、徐々に本来の外側の位置に向かって動いていきます.
それにつれて、先行する乳歯もぐらぐらしてきて、抜けてしまいます。その時点で、永久歯の並ぶ幅があれば、唇と舌の力の釣り合いの取れた本来の位置に並ぶようになります.
下あごの前歯の場合、先行する乳歯を抜くことは、若干外側に移動するスピードは速くなるかもしれませんが、内側に生えてしまった永久歯は、舌に押されて外側に動こうとしていますので、結局は抜いても抜かなくても同じような結果になるのではないかと考えています.