むし歯が10本あったとしたら
- 2023年10月25日
- 虫歯
むし歯が10本あったとしたら
もしむし歯が10本あったとしたら、治療にはどれくらいの期間を要するでしょうか。むし歯があっても、忙しくてなかなか歯科医院に行く時間がない方も多いことと思います。仕事や学校の予定を調整したいという理由から「まし歯の治療にどの程度時間がかかるんだろうか」と疑問をもたれるのではないでしょうか。
むし歯を10本治療する期間
むし歯10本を治療する期間は、むし歯の進行度合いによって異なります。むし歯は初期のCOから重度のC4までがあり、COや初期のC1なら歯科医院に通わずに、自宅で行うセルフケアで治療が可能ですが、C2やC3はむし歯を取り除いた後に詰め物をする必要があります。C4まで進行すると抜歯が必要となることもあるため、10本のむし歯がそれぞれどの状態なのかによって、治療期間は変わってきます。
むし歯の進行度別治療法と期間
むし歯は進行度合いによって治療期間が異なるため、10本のむし歯の治療期間がどの程度ということを明確にすることはできませんが、進行度合いがわかればある程度の目安がわかります。
CO : むし歯になりかけ
COは初期のむし歯ですが、治療せずに経過観察となることが多いため、治療期間は0日です。なぜ治療せずに経過観察になるかは、むし歯発生時に口内で起こっている脱灰と再石灰化が関係しています。
C1 : エナメル質が侵されている
歯のエナメル質が侵されていて、穴があいた状態をC1といい、治療は1日で終了します。COよりはむし歯が進行している状態ですが、痛みは感じないためまだむし歯になっていることに気が付かない方もいます。しかし、C1までむし歯が進行すると自宅でのセルフケアだけでは治療が難しく、歯科医院でCR(コンポジットレジン)修復と呼ばれるプラスチック素材で、削ったエナメル質を埋める治療が行われます。
C2 : 象牙質まで侵されている
C2はむし歯が歯の内部にまで広がり、象牙質まで進んでいる状態で、治療は1~3回に分けて行われます。歯に穴があき、黒くなったり茶色くなったりすることもあり、その部分に冷たい飲み物や食べ物があたると痛いと感じるため、むし歯に気が付くのはC2が多いとされています。前述したCR修復で済む場合もあれば、歯の型を取って詰め物をする場合もあるため、詰め物が完成するまでの間に時間がかかることから、数回に分けて治療を行う必要がある症状です。
C3 : 歯髄まで侵されている
神経までむし歯が進んでいる状態をC3といい、神経を取る根管治療が必要となるため治療は4~5回に分けて行われます。C3までむし歯が進行すると、日常生活に大きく影響を及ぼすほど痛みを感じている状態です。根管治療は、麻酔を行ったうえで歯の神経を除去し、神経があった箇所を殺菌してお薬をつめます。その後土台をかぶせて型を取り、かぶせ物をして完了となります。根管治療は途中でやめてしまうと再度やり直しが必要となったり、抜歯する必要があったりするため、何度かに分けて医師の指示通り治療に通うようにしてください。
C4 : 歯根部まで侵されている
歯がほとんどむし歯によって溶かされている状態をC4といい、抜歯が必要となるため抜歯の1回とその後の消毒が治療回数となります。C4になると、歯の見える部分がほとんどない状態で、歯根のみが残っているのですが、神経も死んでしまっているため痛みを感じなくなっていることもあります。治療の際は、抜歯を行い失った部分の機能をどのように補うかを検討します。ブリッジや入れ歯、インプラントなどの治療方法のなかから、歯の状態や患者さんの希望によって選択することになります。
むし歯の治療が長引く理由
むし歯治療は何度かに分けて行われることがほとんどですが、治療を分けるにはさまざまな理由があります。
段階的な治療が必要なため
ここまでご紹介してきたように、初期のむし歯なら1回の治療で終えることも可能ですが、むし歯が進行している状態だと歯を削る、型を取る、詰め物を作る、詰め物をかぶせるという治療を段階的に行う必要があります。神経を取る根管治療になると、根管内部をしっかり殺菌しておかないとむし歯が再発してしまうこともあるため、複数回通院し消毒作業をしなければなりません。歯科での治療は手間をかけて丁寧に処置をする必要があるため、段階を踏んで次に進む必要があるということです。
1回に何本も治療できないため
歯科医院でむし歯を治療する際、何本も同時に治療をしてほしいと考える方もいらっしゃいますが、歯科医師は全体の咬み合わせを考えて治療計画を立てています。上下で咬み合う歯や隣合っている歯を削る治療は、咬み合わせへの影響が大きいことから、一度に複数の歯を削るのではなく、咬み合わせを確認しながら1本ずつ治療していく必要があります。