血液をサラサラにするおくを服用中の抜歯について
- 2023年10月30日
- 口腔外科
血液をサラサラにするおくを服用中の抜歯について
血栓症(けっせんしょう)とは
血栓症とは、血の固まりが血管を閉塞してしまうことにより、循環不全から臓器障害を引き起こす症状の総称です。血栓が肺にとぶと肺塞栓症(はいそくせんしょう)となりますし、脳にとべば脳梗塞、心臓にとべば心筋梗塞を引き起こします。血栓症は血流、血液、血管のいずれかに異常によって引き起こされます。この異常が起こる理由についてご説明します。
血流が原因となるもの
1つ目の血流とは、読んでそのままですが、血液の流れのことです。主に下半身の血液が停滞することで血栓症ができると考えられています。いまでは耳慣れたエコノミー症候群などがこれにあたります。飛行機の移動などで長時間同じ姿勢をとっていることにより、血流が悪くなることによって血栓症を引き起こしてしまいます。
血液が原因となるもの
2つ目の血液とは、固まりやすいような血液の性質によって血栓が形成されます。高脂血症、糖尿病といった慢性疾患によって起こりやすいとされています。また、女性ホルモンをコントロールするピルも血液を凝固しやすくする成分が含まれるため、血栓を引き起こしやすくすることが知られています。
血管が原因となるもの
3つ目は血管です。動脈硬化によって血管が固くなってしまうと、血流が滞り血栓を形成しやすくなると考えられています。
血栓症の治療薬
血栓症の治療に用いる抗血栓薬には、血栓を形成しないようにする抗凝固薬と抗血小板薬のほか、形成された血栓を溶かす血栓溶解薬があります。この抗血栓薬を説明する際にわかりやすい言葉で血液をサラサラにするお薬と言うことが多いですが、原因や目的によってお薬の作用や性質は大きく異なります。ややこしいカタカナばかりですが、代表的なものを紹介します。
抗凝固薬 : ワーファリン®︎、プラザキサ®︎、イグザレルト®︎、エリキュース®︎、リクシアナ®︎
抗血小板薬 : バイアスピリン®︎、バファリン81®︎、パナルジン®︎、チクロピン®︎、プラビックス®︎、ペルサンチン®︎、アンギナール®︎、プレタール®︎、エパデール®︎、アンプラーグ®︎、ロコルナール®︎、ドルナー®︎、プロサイリン®︎、オパルモン®︎、プロレナール®︎
血栓溶解薬 : ウロキナーゼ
抗血栓薬を服用中に抜歯はできるのか
回答としてはできるです。抗血栓薬を服用中の抜歯にあたって服用を中断するかという問題は、歯科、医科ともに長年の検討課題でした。少し前までは、抜歯の際に出血が止まらなかったら大変だろうと医科から服薬中断を指示されることが多かったのですが、抗血栓薬を中断することによって少なからず現病を悪化させるリスクが問題視され、全身的リスク回避を優先させて治療計画を立てる必要性が問われています。日本循環器学会のガイドライン内にはワルファリンや抗血小板療法継続下での抜歯が勧められると明記されています。もちろん全ての患者さんが抜歯可能ということではなく、医科対診による緊密な連携が必要になってきますので、抜歯の際は以下主治医の先生と連絡をとりあうようにしています。