癒合歯が生えてきたら
- 2023年6月23日
- 小児歯科
癒合歯が生えてきたら
癒合歯とは、1本ずつ別々に生えてくるはずの歯が2本くっついた(癒合した)状態で生えてきた歯のことです。永久歯よりも乳歯の方が癒合歯の発生する確率が高く、乳歯には100人いれば数人ほどの頻度で癒合歯がみられます。(ちなみに永久歯の癒合歯は1000人に1人程度の頻度と言われています。)永久歯に比べると、乳歯の癒合歯は比較的頻度の高いものと思います。
癒合歯が生えやすい場所
癒合歯は
1)下顎のBC
2)下顎のAB
3)上顎のAB
※A:乳歯の1番前の歯、B:乳歯の前から2番目の歯、C:乳歯の前から3番目の歯
の順に多く見られます。つまり前歯が癒合することが多いです。癒合歯には色々な種類があり、2本が完全にくっついて大きな歯のように見える場合、2本の歯が普通に並んでるように見えるが実は繋がっている場合、さらに歯の中の歯髄(神経や血管)に関しても、歯髄が繋がっている場合、歯髄は別々で繋がっていないが外側の組織がつながっている場合など、様々あります。歯の外側がつながっているかどうかは、デンタルフロスが入るかどうかで判断できますが、歯髄の状態はレントゲンを撮らないとわかりません。ではもしお子さんにに癒合歯が生えてきたら、それがどう影響するのか、気になることだと思います。
癒合歯があると、どんな影響があるのか
1)むし歯になりやすい
癒合している境目は溝になっているため、汚れが溜まりやすく、むし歯にもなりやすいです。場合によっては、シーラントというプラスチックの材料をつめて溝を埋めることもあります。
2)永久歯の本数が少ない可能性がある
癒合歯があると、生え変わる永久歯の本数が少ないことがあります。歯の本数は持って生まれたものなのでどうしようもないのですが、永久歯の本数が揃っているかどうかを調べることはできます。ある程度年齢が上がって、上手にレントゲン写真を撮れるようになれば、永久歯の本数を確認をすることができます。
3)生え変わりがスムーズにいかない可能性がある
下から永久歯が上がってくることで乳歯の歯根が吸収され、だんだん揺れるようになり、そのうち乳歯が抜けて、下から永久歯が生えてくる、というのが生え変わりの流れなのですが、
癒合歯は2本くっついているため、他の歯のように上手く吸収されず、自然に抜けることが難しい場合があります。必要であれば、抜歯することもあります。
4)歯が綺麗に並びにくい可能性があります
癒合歯は1.5本分くらいのサイズしかないことが多いです。そのため、癒合歯が抜けたところは元々かなり狭いスペースになります。そこへ、永久歯が2本生えてくると、それだけでスペースが圧迫され、上手く並ばないことがあります。逆に永久歯が1本少ないと、綺麗に並ぶこともあります。
生え変わりの時期は注意です
癒合歯による影響について書きましたが、歯の本数や生え変わりなど、乳幼児の頃にはどうしようもないことが多いです。ですので、とにかく歯ブラシをしっかりすること、必要があればシーラントをしたり、定期的にフッ素を塗るなどのむし歯の予防をすることがとても大切です。また、癒合歯がある場合、生え変わりの時は注意が必要ですので、検診などで経過をおうことが必要だと考えています。